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北米の食エッセイ1 ピーナツバタージェリーサンド

21/Apr/2016


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北米の食べ物にまつわるエトセトラをライターのヒロムさんがつづります。

北米の家庭でよく作られるサンドイッチといえば、ピーナツバタージェリーサンドイッチ。ご存知の人も多い定番料理だが、私が最初に聞いたのは、ハイパークでのお花見を計画したときのこと。日本人とカナダ人の友人たちの混成グループで、何を持って行くか話していたときに出た案が、おにぎりとサンドイッチ。そのとき、カナダ人の友人が作ったサンドイッチがピーナツバタージェリーサンドイッチだ。そのサンドイッチを見て、最初は驚いた。ピーナツバターに、さらにジャムを塗るの? 甘すぎるんじゃない? と。北米で売っているピーナツバターは甘くないものが主流なので、ジャムを入れても甘過ぎない、ということをその時知った。そのあと、デザートのような感覚でたまに自分でも作るようになったが、これが北米の定番ランチ、と聞くと、ランチにはいかがなものか、と日本育ちの私は思ってしまう。いや、学生の頃はクリームパンとか、アンパンとかをお昼に食べたこともありますが。だがしかし。何か割り切れないのは、日本人としてのこだわりなのだろうか。

この定番のピーナツバタージェリーサンドイッチの作り方はいたって簡単で、トーストした(面倒な人は焼かなくてもいい)パンにピーナツバターを塗り、さらにジェリーも塗って完了。味はイチゴかブルーベリーが主流らしいが、好みでオレンジマーマレードでもラズベリーでもなんでも好きなものを塗っていい。ちなみに私はラズベリーとの組み合わせが好きだ。なお、ジェリーは果汁を煮詰めた果肉がないもので、ジャムは果肉を煮詰めて果実の原型が崩れたもの、プレザーブは同じく果実を煮詰めたものだが、原型がかなり残っているもの、だそうだ。こちらでは、オーガニックのピーナツバターや、チャンクが残っているものなど、こだわりのピーナツバターも色々と売っているので、そういったピーナツバターとプレザーブを組み合わせると、なかなか高級感が出る……かもしれない。

ピーナツバタージェリーサンドイッチの派生品(?)として、通称「エルビスサンド」というものもある。トロントではあまり見たことがないが、バナナ(これはスライスでもマッシュでもなんでもいいらしい)とピーナツバター、焼いたベーコンを挟むそうだ。さらにパンをバターで揚げ焼きしてもいたらしい。一説では、このサンドイッチの食べ過ぎで肥満となり、エルビス・プレスリーは亡くなったと言われている。

偉大なロックスターの死因の真相は不明だが、ピーナツバタージェリーサンドイッチ自体の歴史は古くない。1901年の米ボストンの料理雑誌に登場したのが、正規の記録だが、そのときはまだピーナツバターは高級品だった。その後ピーナツバターが安く手軽に手に入るようになり、第二次世界大戦のときには、豊富なタンパク質を接種できる手軽な栄養食として、兵士に配給された。それが兵士の間で人気を集め、戦争から帰った兵士たちがピーナツバタージェリーサンドを広めたとか。子どもたちが好きな味で、安く、しかも手軽ということから大人にも受け、ピーナツバタージェリーサンドイッチは瞬く間に国民食となった。

うまい、安い、早い。と三拍子そろえば、人気が出るのは納得できるというもの。たまに無性に食べたくなるのも、国民食と言われるゆえんなのかもしれない。

とっても簡単レシピ
1)食パンを2枚トーストする(省略可)
2)1枚にピーナツバターを、もう一枚に好みのジェリー(ジャムでもプレザーブでも)を塗る
3)パンを重ねる


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