
日本とカナダの恋愛文化ってどう違う? 両親が日本人の日系カナダ人で、日本人の夫を持つAさんに、カナダ人の夫を持つ日本人のライターMが、赤裸々にお話を伺いました。今回は大人な話題の性生活について語ります。
過去の記事はこちら
第1回「告白文化は日本だけ? カナダと日本の恋愛の違いPart 1」
第2回「デート代の負担の割合は? カナダと日本の恋愛の違い Part 2」
M:カナダ人男性と付き合っている、ある日本人女性からの相談だったのですが、その女性の悩みは、彼氏がすごく寝たがること。付き合い始めたばかりでしたが、彼の兄弟に彼女として紹介してもらっていて、すでに家族公認の恋人です。でも、毎日会う度に寝たがるので、体目当てなのか、それともこの人はちょっとおかしいのか、と悩んでました。「日本人と付き合っていたときはそこまでの頻度ではなかった」って。日本人とカナダ人で頻度が違うとかあり得ますか?
A:あると思います(笑)。
M:やっぱりあるんですね。
A:なんでしょうね。まあ日本人が消極的ということもあるかもしれません。もちろん人それぞれなので、◯◯人だからこう、とは言いきれませんけれど。
M:あくまで個人の人格によるところが大きいですからね。でも、私も正直なところ、カナダ人の夫と会ったばかりの頃は毎日でした。私はあまり日本人男性と付き合ったことがないから、男の人って皆こんな感じなのかなと思っていたので、そんなに気にならなかったです。
A:逆に私は(夫が)あまりしないので、もう飽きちゃったかなって。そうではなかったみたいです。
M:ちょっと古いデータですが、避妊具を販売しているDurex社の2005年の統計では、日本人が年に平均45回セックスするのに比べ、カナダでは年平均108回とあります。カナダ人のパートナーのほうが、したがる頻度が高いとよく周りから聞くので、やっぱり差があるのかもしれませんね。
A:体の作りもアジア人と違いますしね。
M:そういうのもあるのかな? 年平均45回だと、大体一週間に1度、するかしないか、という頻度ですよね。相模ゴム工業の調べだと、もっと少ないです。平均で月に2.1回となっています。約2週間に一回ですね。
A:付き合いたてでそうだとしたら、悲しい気がしますね。
M:結婚をするまではしてはいけない、という観念もまだ残ってますからね。そうは言っても、結婚するまで貞操を守る、という人は今は少ないと思うんですけど、でもまだタブーという感じはします。
してはいけないもの、という考えが強いかもしれませんね。
A:私も疑問なんですけど、日本人の方は何才まで実際にしているのかなって。こっちの方だと結構60、70代くらいまでしている方がいると聞くので。
M:どうなんでしょうね。でも、結婚して子どもが生まれたら、目的を果たしたからその後はしない、もしくは、する頻度がかなり下がる、というカップルの話は何度か聞いたことがありますけど。
A:それで浮気をする人が多いという日本の夫婦の話をよく聞きます。私のある友人は、ご両親は離婚はされてないんですけど、お父さんがもう何年も浮気してるって言ってました。娘である友人も、もちろん彼女のお母さんも知っている。日本人女性は、母親になったらそういうことはしたくなくなるのでしょうか。
M:わからないけれど、多分そういうことをするのが好きじゃない人が多いのかな。Durex社の統計でも性生活の満足度が世界最低ですし。原因の一つは日本の性教育が全然なっていないからだと、私は思います。
A:そこだと思います。こっちは今だと小学生くらいから始めてます。私の場合は確か中学2年生くらいでした。
M:その時ってどういう感じでした? 私の場合は、体内が見える人体模型みたいなもので、男女の臓器などを見せて、こういう違いですよ、赤ちゃんが子宮にいて、ここから出てきます、くらいだったかな。あとは、花を使って、おしべとめしべが、とか。
よくは覚えていませんけど、具体的な性行為については言及していませんでした。だから、その授業のあとも、実際にどこに何をいれたらどうなるのか、まったく理解していませんでしたね(笑)。
A:こっちでは、男女のストーリーのようなものをビデオで見せるんです。男女がデートして、しそうな雰囲気になると、そこからイラストの解説図が出てくるという。そういうのを見ていると、イメージはわかります。恋愛関係になるとこういう風になるんだなって。
M:その授業のときは避妊の話もでるんですか?
A:もちろんします。みんなにコンドームを渡して、「こうやって使うんだよ」って。今では実際に人形につけるところまでやるそうです。小学生でも使い方をちゃんと教えるべきだ、ということで。
M:私の時は結構前なので、今は違うかもしれませんが、避妊の話はなかったと思います。あっても、コンドームを配る、とか付け方の授業はありませんでしたね。
A:親も言いますからね。ちゃんとコンドームつけるんだよって。言われて恥ずかしいかもしれないですけれど。絶対に言ってますね。
M:日本は多分、まだそこまでオープンじゃないですね。
A:きっと話しにくいんでしょうね。
M:そういうのが大きいのかな。この前、日本の若い男性はAVでセックスを学ぶ、という記事を読みました。それによると、AVを見て、その行為を真似る男性が多いらしいです。でもAVって男の人のための妄想というか、事実とは違いますよね。女性があんなに簡単に気持ちよくなることはないし、顔にかけたりとか、変な行為で喜ぶ女性はほとんどいません。当然ですけどAV女優は嬉しそうな演技をしているだけですよね。
でもそれで喜ぶんだって、勘違いをしてしまう人がいるんですって。AVの変な行為を真似されても、女性は嬉しくないですよね。女性が本当に喜ぶ行為を学ぶ機会が少ないんだろうなあと。あとは女性側も、性行為はしてはいけない、積極的に楽しんではいけない、という意識が残っていて、楽しみにくいのかもしれません。
A:でもそれはこっちの女性でもあるかもしれません。それでもカナダの女性の方が積極的な人が多いと思います。自分から誘ったりとか。
M:男女ともに楽しんで気持ち良くなれたら、子どもを生むだけの行為で終わらないと思うので。お互いに努力して、コミュニケーションをしないとね。
A:そういう意味でいうと、私はいろいろ話しているとおもいます。
M:それって大事ですよ。Make Loveって、そういうことですもんね。まあ、なかなか難しい部分はありますけど。ちょっと話は変わりますけど、日本人は人前で愛情表現をするのに抵抗がありますよね。
A:たとえば親が子どもの前でキスをしないとか。こっちだと普通にしますね。
M:手をつなぐことすら抵抗があるかもしれませんね。
A:私も実際に両親とハグとかキスとかしたことないです。それで私の友達はみんなビックリします。「お父さんとお母さんあなたのこと嫌いなの?」って子どものころ聞かれました。
たとえば、学校に行くときに、私の友達はみんな「Bye Mommy, I love you.」ってみんな言うんですよ。でも私は「お母さん行ってきます」と言っていたら、「お母さんとうまくいってないの?」って聞かれて(笑)。
M:親子関係でもあまり言わないですよね。愛情がない訳ではないですけど、表現をあまりしないですよね。
A:愛しているという言葉自体あまり使わないですね。
M:一生に何回か使うくらいじゃないですか? 変な話、死に際とか、よっぽどのことがない限りは言いませんよね。
A:私の夫も言いませんね。「何で言わないの?」と聞くと、彼曰く、「いつも言っていたらそれは本当の気持ちじゃない。だからこそ特別なときにそういう言葉をとっておく」らしいです。
テキストメッセージでも「Love You」て送っても返事がないか、「うん」しか返ってこないんです。そういうのがやっぱり文化の違いだなと思います。
M:やっぱり愛情表現をする文化ではないですよね。それで愛情が多い少ない、という訳ではないですけど、コミュニケーションだから表現は大事だと思いますね。それで思いだしたんですけど、日本で以前、「半沢直樹」というドラマがすごくヒットしたんですよ。
A:見ました!
M:その中のワンシーンで、主人公の半沢直樹が一回家から出ようとした後戻ってきて、奥さんに抱きついたシーンあるのですが。
A:ありましたね。
M:それを見てカナダ人の夫が「あの人たち結婚しているのに、キスもしないの?」と驚いてました。「ちゃんとしてるのかな、あの夫婦は」と心配までしてましたよ。半沢直樹もそんなこと外国人に心配されたくないでしょうね。
A:でも私もよく思います。ドラマの中でも、キスシーンを見せるのはこっちでは日常茶飯事ですけれど、日本では、あまりドラマや映画の場面にないですよね。
M:身体の触れ合いはプライベートなもので、公共の場で見せるものではないという考えですよね。
A:ドラマの中でも、ハグやキスシーンがもっとあってもいいんじゃないかな、と私は思います。日本のドラマを見ていると、「このカップルは本当に付き合っているの?」と、カナダ人が疑問に思ってしまうほど、手をつなぐシーンやキスシーンが少ないです。
M:こっちの人は、人前でもハグやキスをよくしますよね。たとえばレストランで、他の友達と一緒にいるのに彼女の髪で遊んだり、頭を撫でたり。おしりに手を当てていたりとか。
A:普通です! 注目すら受けない。
M:でも日本の感覚からしたら、すごくイチャついているカップルに見えますよね。日本に帰るときは気をつけて、公共の場では手もつながないようにしているのですが、それでもたまに親に注意されます。親の言うこともわかるのですが、夫に「日本の習慣を完璧に理解して」とも言いにくいです。
A:そういうスキンシップをすることが当たり前の環境で育ってきているので、日本の習慣にすぐ慣れるのは難しいかもしれないですね。
M:見た目が明らかに外国人だったら、ある程度は理解されるんですけどね。
3回にわたって国際恋愛・結婚についての文化の違いなどを語って来ましたが、いかがでしょうか。ご自身の体験や、読みたい話題などがありましたらどしどしお寄せください!
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